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いらっしゃいませ、お客様

私の家は古い。ホントーに古い。私は生まれた時から、この家に住んでいますが、私が生まれた時(半世紀以上前)すでに、この家は古かったのです。現在、築100年近いです。古民家なんて、こじゃれたモノではなく、ホントーにただのボロ屋。関東大震災で家が倒壊したため、今は亡き祖父が建て直したものらしいです。その後、建て増しや若干のリフォームはしましたが、当然、あちこち痛んでいます。

去年の暮れには、屋根が腐食して瓦が落ちました。危険なので直しましたが、このボロ屋に大枚をはたく気がしないので、危険がなければ基本的に放置。これからの季節、すきま風が入ってきて、めちゃくちゃ寒いです・・。が、一酸化炭素中毒になる危険なし。すばらしい。
しかし、こんな家に人は招けません。なので人付き合いはしません。お客様が来ることもありません。

ある時、台所で料理をしていました。(ちなみに今時、台所は土間。水は井戸水)「ニャー」という猫の鳴き声がしました。ウチの猫のシオのようでした。名前を呼ぶと返事はするのですが、姿は見えず。一体全体どこにいるのだろう?あちこち見回しました。そして・・天井ボードの一枚の端が剥がれており、そこからシオの黒く長いしっぽが垂れていたのでした!落下しないか心配でしたが、天井から垂れ下がる猫のしっぽ・・何ともシュールな光景でした。写真に撮っておけばよかった。 

また、ある時、別の部屋の天井の板と板の間に隙間が少しあるのに気づきました。劣化し割れ目が出来ていたのでした。数日後、その隙間が数㎝広がっていました。そして、もうしばらくすると隙間はさらに広がっていました。こまめに隙間チェックしていると、ある時、何かが光りました!猫の目でした。家の中をじっと観察しているようでした。ウチのコではない。どこのコだろう?そして、このコが隙間を広げたのでしょうか?ウチの天井裏は、猫たちの散歩道になっているようでした。

そして、その後、天井の隙間を一気に押し広げ、一匹の猫が降ってきたのでした。

「あらあら、いらっしゃいませ、お客様。初めて見るお顔ですね。何も、そんなところから来られなくても・・。こんなボロ屋ですが、よかったら、ゆっくりしていって下さいませ。お茶の一杯でも・・いえいえ、チュールの1本くらいお出ししますよ」

読んで下さりありがとうございます。