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日々の出来事

人生はおとぎ話

私が働いている介護老人施設に少し風変わりな80代のおじいさんがいます。

おじいさんは記憶力もよく、ずいぶん前に辞めた職員のことや以前あったことなども覚えています。また本好きで1日の大半、読書をして過ごしています。一見するとすごくしっかりした感じなのですが、このおじいさん、時折ウソともホントともつかないような昔話をします。

おじいさんが言うには、若い頃、外国の軍隊に入っていて軍人だったそうです。偉い立場で、ずいぶんお金も稼いだそうです。
しかし外国語を話せるのか尋ねると「もう忘れた」と言います。稼いだお金もどこに消えたのか、今は生活保護の身です・・。身寄りもないのか、訪ねてくる人もいません・・。おじいさんの本当の生活歴は分かりません・・。

おじいさんはよく2、3ミリの小さな虫が部屋に出ると言います。今日も言うので「目がいいですね」と感心したように応じました。すると「星をよく見たから。」と言い、昔話をはじめました。

おじいさんは小学生の頃、先生に言われ毎日、星を数えたそうです。(気が遠くなりそう・・)数え終わり先生に言うと「まだ足りない」と言われ数えなおしたこともあったとか・・。(えっ、先生が側にいたの?)中学生になると、中学校に小学校の先生から手紙が来たそうです。「星を数えさせて下さい。役にたつから」と・・。(何の役に?)おじいさんは、また星を数えたそうです。そして「確かに役に立った。軍隊で」と言いました・・。(?)「昔は視力が5.0あったなだよ」(アフリカの人ですか!?)

私は、おとぎ話を聞くように、おじいさんの話を聞いていました・・。

時間は過去から未来にしか流れません。おじいさんの話の真偽は本当には分かりません・・。

おじいさんは小学生の頃、本当に毎日、星を数えたかもしれません。中学生の頃、星を数えるようにと小学校の先生から手紙をもらったかもしれません。若い頃、外国の軍隊で軍人だったかもしれません・・。本当に視力が5.0あったかもしれません・・。

ウソかホントかはどうでもいいのです・・。人生なんて振り返ってみれば、すべておとぎ話だと思うのです・・。

読んで下さりありがとうございます。