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思い出 生き物(猫以外)

ニワトリの不思議なお話

動物は言葉を持っていません。しかし言葉以外の何かでコミュニケーションをとっているのでは・・と思うことがあります。

私の家の物置は大昔、鶏舎でした。祖父が養鶏の仕事をしていたのです。しかし私が子供の頃には、すでに祖父は養鶏を辞め、鶏舎は物置になっていました。それでも、ニワトリはペットとして5、6羽いました。鶏小屋は家の裏にあり、午後3時頃になるとニワトリたちを庭に出しました。思い思いに庭を巡り夕方になると自然に小屋に戻りました。

いつしか5、6羽いたニワトリも1羽になりました。最後の1羽は小屋の戸を開けっ放しにして、野放しにしていました。しかし庭から出ることはありませんでした。時々、庭に卵を産み落としたりして、ニワトリは1羽でひょうひょうと生きていました。

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そんなある日、庭を見るとウチのニワトリの後ろに3、4羽のニワトリがついて縦に並んで歩いていました!まるでニワトリの行進です。ウチのニワトリは一般的な白いニワトリですが、後ろをついていくニワトリたちは小ぶりで羽は茶色でした。何羽もニワトリを飼っていましたが、初めて見る光景でした。
このニワトリたちは、近所の家で飼われているものでした。その家とは地続きになっていますが、近接しているわけではなく間には竹やぶがあります。その竹やぶを通ってやって来たようでした。

その後も度々、ニワトリたちはやって来て、ウチのニワトリを先頭に行進をしました。そして、しばらくすると一斉に帰って行きました。ニワトリたちは鳴き声を出すことはなく静かでした。ニワトリたちの間には、まるでなにか暗黙の了解でもあるかのように見えました。微笑ましく、そして不思議な光景でした。

そんな穏やかな日々が続いたある日、ウチの最後の1羽のニワトリもとうとう旅立ちました。私が20代の頃です。何歳だったのか、1羽になって何年たっていたのか・・・はっきり覚えていません。でも、ニワトリたちの行進を思い出すと今でも笑みがこぼれます。

そして・・茶色い羽のニワトリたちは、ウチのニワトリがいなくなってから、まったく来ることはなくなったのでした・・。

読んで下さりありがとうございます。

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