私は介護老人施設で働いています。施設では、コロナウィルスの感染対策として長期間、面会中止になっています。今も基本的に面会は行われていません。でも今日、一人の女性の息子さんご夫婦が施設を訪れました。冬物の衣類を持って来られたのです。
女性は70代です。数年前、緑内障で失明し全盲。その他にも、いろいろ大変なことが重なり施設に入所することになったそうです・・。以前、話して聞かせてくれました。でも現在、日常生活動作のレベルを落とさないように自分で出来ることは自分で行い、前向きに生きるように努めています。いつか家に帰れることを願って・・。
女性は声で人を覚えます。私の苗字は漢字2文字なのですが、苗字の頭の漢字で”〇ちゃん”と私のことを呼びます。若い子は”ちゃん付け”で呼ばれますが、この歳になって”ちゃん付け”で呼んでくれるのは、この女性だけ。まあ、私の姿が見えていないので何歳くらいの想定になっているのかは不明ですが。歳を聞かれることもないので、私の方からも特に言いません。
今日訪れた息子さんご夫婦は遠くから来られたようです。せっかく来られたので対面していただくことになりました。しかし直接、会うことはできないので、ガラス窓越しの対面になりました。息子さんご夫婦は外です。
女性に息子さんご夫婦が来られたことを伝えると喜び「ああ、願いが通じた!」と言われました。そして対面する場所までお連れすると・・感極まり泣いてしまいました。会いたいと願い待ちわびていたのでしょう。
そして「泣かないで」と言う息子さんの声。ガラス越しでも微かに声は届きました。女性が「〇〇ちゃん(お嫁さん)元気?」と問えばお嫁さんが「元気だよ」と答えました。何ということない会話の中に思いが詰まっているのを感じました・・。
一緒にいたもう一人の職員が「よかったですね」と言い泣き続ける女性の背中をさすりました・・。
ガラス越しの交流に何だか胸がジーンとして、少しだけ目頭が熱くなりました・・。
読んで下さりありがとうございます。