職場の厨房に30代後半で、がたいがよく見るからに頑強そうな男性の調理師がいます。独身です。気さくな人柄で誰とでも楽しそうに接していて、私もたまに話をしますが明るく屈託のない人だな、と思っていました。
しかし、そんな男性から数日前、思いもよらない話を聞き驚いたのでした。最初は60代後半のお母さんについての話からでした。お母さんは長い間、介護の仕事に携わっていて最近、夜勤をやめたそうです。年齢的に介護の仕事は日勤でも大変だと思うのですが70 歳までは続けるつもりとのこと。頭が下がります。
それにしても、よく頑張るなあ、と感心。立派な息子もいるのに。
「お母さんは仕事が好きなんですね」と私が言うと男性は「そうだね。それとオヤジが早くに亡くなったから」と言いました。最初、お父さんが亡くなったのは男性が成人前かと思ったら10年ほど前でした。男性が20代後半の頃ですでに立派な社会人です。
でもお母さんは大黒柱として頑張らなければと思ったんでしょうね。私は納得しつつ、もう大黒柱は息子に譲ればいいのにとも思ったのでした。そして、とりあえず話はこれで終えるつもりでした。
しかし男性が突然、「俺が透析になってしまったから」と言い上着の袖をまくり上げ腕を見せたのでした。そこには痛々しい人工透析のあとがありました。
30代で透析!まさか、と思いました。いつも明るく振る舞う男性からは、そんな大きな病気を抱えながら仕事をしているとは微塵も感じられませんでした。ちなみに、この会話の時も決して暗い深刻な口調ではなく、あっけらかんとした感じで話していました。
男性が一日おきに休みなのは人工透析のためだったのでした。お母さんが仕事を頑張るのも息子を慮ってでしょう。ちょっと嫌なことがあると、すぐ泣き言をいってしまう自分が恥ずかしくなりました・・。
ところで今日のお昼、男性に昼食で残った豚汁と鯵の甘酢和えを分けてもらいました。私はお弁当を持っていっていますが、おかずは全部冷食です。作るのが面倒で。今日、分けてもらった手作りのおかずは美味しかったです。
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